先日人生で初めて加湿器を購入したので、購入に至るまでの経緯、候補の選定、そして実際買ってどうだったかを率直にレビューしたいと思う。インターネットの共有知として誰かがこの情報を参考にしてくれれば幸いである。
まず、加湿器という家電を使ってみた簡単な感想だが、1日1回の給水で快適さを享受出来るのであれば「あり」とは思う。
ただし、後述するどの加湿方法を選んでも、消耗品費用や電気代などのランニングコストがそれなりにかかる。
そのため、万人におすすめできるかというと、結局はその人が住む部屋の湿度と体調への影響次第という感じ。
もし買うのであれば、ざっくりと下の2製品をおすすめしたい。
・象印 EE-TB60/EE-DF50シリーズ
・ダイニチ HDLXC1000シリーズ
今回レビューする象印の加湿器EE-TB60は、水の容量・電気代・動作音・加湿スピードを犠牲に圧倒的な楽さ(給水のしやすさとメンテいらずの清潔な加湿)を求める怠惰な人間用。でもこれは一人暮らしにはややオーバースペックなので無駄な機能の削ぎ落とされたDF-50をおすすめする。
だがどちらも総合的にはダイニチに劣る。まっとうな人間はダイニチでよい。
1. なぜ欲しいか
今の家では毎年冬になると湿度低下(30後半〜40前半%)に悩まされており、喉に悪いだけでなく静電気なども発生し不快感を感じていた。
限界というわけではないが、これを機に加湿器というものを試してみようと思ったのが表向きの理由。
しかし本当の理由は、やたらと残業の多い時期で金の使い道を探していた、というのが冷静になった今記事を執筆しながら当時を振り返って至った結論である。別に後悔してないけど。別に。
2. 購入候補の比較
何を買うにも、この機能が欲しいという要点を抑えないと、情報の洪水に流されてしまうのが大量消費社会の現代。
今回加湿器を購入するにあたりマストの要件として決めたのは下記の三点。
- 手間を金で買う覚悟はできている
- 楽(給水は回数少なく手軽に、メンテナンスの頻度や手間も少なく)と清潔な加湿の両立
- 仕事から帰ってきて、朝起きるまでの半日(12時間程度)稼働してくれればよし
加湿器には加湿方法の違いがあり、大まかに「超音波式」「スチーム式」「気化式」「ハイブリッド気化式」の4種類がある。
詳しい解説はパナソニックのこれを読んでもらうとして、ここで伝えたいのは「超音波式は衛生面に難あり」「ハイブリッド気化式は気化式の上位互換」ということ。
水をミストにして噴霧する超音波式は言ってしまえば霧吹きみたいなものであり、水が不衛生な場合そのまま部屋へと放出されてしまう。
水を交換するたび洗えばいい、そんな心ない正論は受け付けてない。俺は楽して加湿したい。
逆にスチーム式はその名の通り、水を沸騰させて湯気を出す昔で言うストーブ&やかん方式なので、沸騰のタイミングで強制的に殺菌が行われる。
気化式は濡れタオルに冷風ドライヤーをあてて湿った風を飛ばすイメージで、ハイブリッド気化式はドライヤーの風が温風になってより速く加湿ができるようになったと思ってもらえば大丈夫。
つまり、スチーム式とハイブリッド気化式から選べばいいわけ。
そんなわけで独断と偏見で絞った両加湿方式の代表がコチラ。
| 象印 EE-TB60 | 象印 EE-DF50 | ダイニチ HD-LXC1000D | |
| 加湿方式 | スチーム式 | ハイブリッド気化式 | |
| 電気代※1 | 約2,375円 | 不明 | 約171円 |
| 給水方法 | 蓋を開けて本体に直接給水 | タンクを取り外して給水 | |
| 衛生面 | 沸騰するごとに都度殺菌 | 定期的な掃除が必要 | |
| タンク容量 | 4L | 7L | |
| 対応床面積 | 木造10畳、洋室17畳 | 木造8畳、洋室13畳 | 木造16畳、洋室27畳 |
| 定格加湿能力※2 | 600ml/h | 480ml/h | 960ml/h |
| 設定湿度 | 40・50・60% | 50-70%まで5%刻み | |
| メンテナンスコスト※3 | 約500円(クエン酸) | 約1,400円(フィルター・トレイ) | |
| スマートホーム | 非対応 | 対応 | |
| 切タイマー | 1-9時間 | 1・2・4時間 | 2・4・8時間 |
| 参考価格※4 | 28,380円 | 22,800円 | 46,200円 |
| 備考 | 同スペックでデザインの異なるEE-FA50もある。オンラインストアでの価格は33,000円。 | 1年型落ちのモデルは末尾がCとなっている。最新モデルと性能がほぼ変わらないため、価格が安ければ購入の余地あり。 | |
※2 1時間あたり最大でこれだけの水分量を加湿できますという数値。タンク容量で割れば、フルパワーで加湿し続けた場合の稼働時間が算出できる。
※3 1シーズン(6ヶ月あたり)あたりの消耗品費用。いずれも純正品の価格を使用している。
※4 公式オンラインストアでの価格
一長一短ではあったが、「はじめての加湿器」ということで少なくとも給水が手間だと加湿器を動かす習慣がつかないかもしれないと思い、ダイニチではなく象印を選択。
象印のは言ってしまえば巨大ポットなので蓋を開けて直接給水ができるのに対し、ダイニチの加湿器はタンクを取り外して給水し、再びタンクを本体を取り付けないといけない。
「……いやいや、象印もダイニチも水を入れに本体なりタンクなり風呂場やキッチンまで運ばないといけないじゃん。それならタンクだけを分離できるダイニチのほうが軽くて楽なのでは?」
そんな読者諸賢の冷静なツッコミを待っていました。まずはありがとう。
実は今回、加湿器の購入を検討するにあたり、給水の手間を何とかして減らせないかと策をめぐらせ、シャワーホースを延長し加湿器まで持ってくるという計画にたどり着いた。
水の入った重い加湿器本体やタンクを持ち運ぶのではなく、軽いシャワーヘッドを加湿器まで持ってきて水を直接ブチこもうという算段である。
その場合、タンクの給水口が下向きについているダイニチの加湿器では、結局タンクを一回取り外して向きを逆さにする(そして給水後はまったく逆の)手間が生じてしまう。
シャワーホース延長が結局どうなったかは後述するとして、とにかくそんな理由で象印の加湿器に決めた。
床範囲的には明らかにオーバースペックだが(洋室のワンルーム6畳なので廊下を含めても9畳)、タンク容量がなるべく大きいのを選ぶと必然的にスペックの高いものになった。
象印は容量4Lの加湿器を三種類ラインナップしているが、最終的には加湿能力が最も高いEE-TB60を選択した。

3. 各項目の総評
(最低★~最高★★★★★の主観的評価)
加湿能力:★★★★
つけてから加湿までのスピード感は求めていないのでスピード面の不満はなし。
カタログスペック上は加湿開始まで35分とのことだが、実際には満タンまで水を入れても25分程度と意外に優秀。
自動加湿機能は結構波打つような感じで、例えば60%を目標にしていると67%くらいまで上がって加湿が止まり、湿度が下がると再び加湿が開始される。
以下、SwitchBotの湿度ログを参考に添付する。

逆に連続加湿機能はほぼ使い物にならなかった。これは象印が悪いわけではなくどこのメーカーでも一緒だと思う。
部屋の湿度が加湿器の挙動にフィードバックされないので、加湿されすぎる/全く湿度が上がらないのどちらかになってしまう。
加湿可能時間:★★★
エアコンを付けっぱなしの場合(加湿器を付けない場合湿度35-40%)、60-65%を9時間キープしてちょうど空になるくらい。
エアコンを付けていなければ(同湿度45-50%)、60-65%を12時間キープして水の残量1/3程度。
就寝前にエアコンを消す我が家ではちょうど12時間くらい稼働してくれるので十分ではあるが、加湿範囲9畳程度でこの結果なので、より床面積の広い一般家庭のリビングだとおそらく半日も持たない。
手間:★★★★
給水頻度は1日1度。平日であれば帰宅後手と顔を洗うタイミングで同時に給水すれば手間には感じない。
1日のうち必ず水を使うというタイミングに合わせるのがベスト。
給水の手間だが、蓋を開けて上から給水はありがたいものの転倒時の漏水防止のためロック機構が二重で働いており、片手ではかなり開けづらい。

メンテナンス:★★★★★
普段は本当に何もしていない。水道水のカルキが庫内にたまるので、2か月に1回クエン酸洗浄をする程度。
クエン酸はメーカー純正品が推奨されているが、成分は変わらないはずなので市販のクエン酸を使用している。
洗浄一回あたり30g程度で良いので、激落ちくんの300gが一番コストと容量のバランスがとれている。
音:★★
はっきり言ってうるさいが、「ポコポコ」のような沸騰音と「シューシュー」のような蒸気音なので耳障りが悪いわけではなく、許容はできる。
テレビの音量を大きくしたり、人と会話する時いつもより声を張るといった必要はないが、加湿器の存在自体はかなり意識する程度の動作音。
ただ、自分が図太いだけかもしれないが、付けた状態でも全然寝られる。
スマホで計測したところ加湿器を稼働していない状態の自室が25dBなのに対して沸騰時や加湿時は30dBになると結果が出たが、数値上ではあまりピンとこないかもしれないし体感とも一致しない。
数値上は1.2倍で済んでいるが、正直体感では1.5-2倍くらい明確な差を感じる。
電気代:★
正直一番の課題で、ここを許容できるかどうかでこの製品を買うべきかが決まってくる。
象印の加湿器に限らず、スチーム式の加湿器は基本的な構造がポットと同じである。
湿度を上げるためポットを沸かし続けると考えれば電気代がかさむのも仕方がないし、この原始的な構造を採用している以上、今後大きな技術革新による省電力化も見込めない。
12時間稼働させた際に使用した電力使用量と電気代を実際に測定したので、参考にしてほしい。
自分の使っている自動加湿モードでは、基本的には1,000wで水を加熱→水温が上がってきたら500w程度に落として沸騰・目標湿度まで加湿→加湿を停止→湿度が低下してきたら500wで再沸騰・加湿というサイクルが組まれているようだ。


12時間使用した結果の電力使用量は3.83kwhとなっており、家庭用電気料金の目安は1kwhあたり31円程度なので、1日119円かかることになる。
単純計算で毎日12時間使用した場合3,562円/月の電気代増となる。
そりゃあ商品ホームページに電気代を記載しないな、という感想。こんなのネガキャン以外の何物でもない。
ポチる際に手間を金で買うんだと納得させた自分ですら若干引くくらいの数値なので、ここはよく検討し覚悟を決めてから買ったほうが良い。
4. 給水方法の改善
いよいよお待ちかねのシャワーホース延長作戦。
一体この記事を見たうちの何人が参考にしてくれるのだろうか、完全に自己満足の世界ではある。
とはいえ、生活の質を上げるために物を買ってそれを使うだけなら誰でもできる。
そこから先、さらなる快適さと怠惰のために頭をこねくり回すことこそ、生活改善提案としてのこのブログの提供価値なのではないだろうか。
というわけで実際に買ったのがこちら
・OFFO シャワーホース 3m 交換用(Amazon参考価格:2,399円)
・ナノフェラミス ゼロストッパー(Amazon参考価格:1,980円)
・高儀 モンキーレンチ20mm(Amazon参考価格:568円)

特にこだわりはないが、シャワーホースは加湿器までの距離を考慮して3mのものを探した結果、それなりのレビュー数があってなおかつ手頃な価格なのがOFFOしかなかった。
YouTuberや各種ITメディアに擦られすぎて味がしない有益情報としておなじみのサクラチェッカーで調べたところ怪しさ満開だったものの不安を押し切って購入。
ちなみにちゃんとした水栓メーカーであるサンエイやKVKも値は張るが同様の製品を売っている。
ゼロストッパーはシャワーヘッドにつける手元止水器。これを付けないとせっかくシャワーホースを伸ばしてもシャワーホースを加湿器まで持ってきた後、また浴室に戻って蛇口をひねる必要があり面倒。
最初は別の製品を買ったのだが、そちらには20%節水機能がついておりシンプルに水の出力低下を感じたので水圧低下ゼロを謳うゼロストッパーに買い替え。
モンキーレンチは水栓とシャワーホースのつけ外しに必要なので近くのホームセンターで購入した。
取り付けは意外と簡単。まず既存のシャワーホースをモンキーレンチを使って水栓から取り外し、続いてシャワーホースとシャワーヘッドを分離する。これはペットボトルの蓋を開けるような要領で、素手で分離できる。
次に新しいシャワーホース・手元止水器・既存のシャワーヘッドを一つに組み合わせる。
注意してほしいのは、水栓メーカーによって規格が違うため場合によってはシャワーホースにアダプタの取り付けが必要な点。
各シャワーホースのAmazon販売ページなどに製品や付属のアダプタで対応可能なメーカーの記載があるので必ず確認してほしい。
で、完工した感想ですが……
最高すぎる、浴室の近くに加湿器置くなら是非真似してくれと声高に叫びたい。
これをやっていなければ毎日電源コードを外して本体を浴室に持っていき、給水が終わったら水のたっぷり入れて重たくなった本体をまた所定の位置まで持ってかえってコードを繋ぎなおす作業を……?令和最新版の賽の河原すぎるだろ。

逆に言ってしまうと、家が広いなどで浴室の近くに加湿器を置けずこの方法をとれない場合、象印の加湿器を買うメリットはほとんどないと言ってしまってもよい。いくらメンテが楽とは言っても、電気代があまりにも高すぎる。
冒頭でダイニチの製品をおすすめしたのもそのためである。
5. まとめ
最後に、買ってどうだったかの結論。
まずダイニチの加湿器と比べた場合、あまりに電気代の差が酷すぎるものの、パーツのメンテナンスや清潔さを保つための手間は確実にかけずに済む。
あとシャワーホースの改造で直接水を注げる仕組みにするにはダイニチの機構では無理だったので、金で手間を買ったことに対して後悔はしていない。
タイトルにも書いたとおり、「買って後悔はしていないが、楽の代償が大きすぎる」というのが率直な感想。
続いて象印の加湿器内で比較した場合、まず間違いなく同社の中で最大容量のものを買ってよかった。むしろ5L、6Lと更なる大容量の製品を販売してほしい限りである。
一方同容量の加湿器DF-50と比べた場合、主な差が「より長い時間まで切タイマーの設定が可能」「加湿の最大能力が高い」「湿度のパーセント表示が可能」という点しかない。
購入当時は切タイマー機能を割と重要視していたが、就寝前に切タイマーを設定しようが、起床したタイミングで消そうがボタンを押す回数は一緒であることに気づいた。
あと加湿能力の高さも少なくとも9畳程度の床面積ではオーバースペック。
湿度のパーセント表示は言わずもがな、どうでもいい機能である。
これで価格差5,500円と考えると、正直DF-50でも良かったかなと思ってしまう。
と色々不満を言ってしまったが、それでも加湿器が生活を変えたのは事実。
今までどうやって湿度40%の世界で生きてきたのか分からないし戻れるとも思えない。便利さは人を弱くする。
少しオーバースペックだったし電気代もかさむけど、これからも俺の人生を物理的に潤してほしい。